アートとデザインの違いとは何か?
よく議論されることですね。デザイン系の学校や職場でも時々話されているのではないでしょうか。
アートとデザイン、あるいはアーティストとデザイナー、クリエイターの違いについて、今まで私が聞いたり読んだこと、そして私の思うことをまとめました。
アートは問いであり、デザインは答えである。
例えば、現代アートで、なにか社会問題に対する訴えをテーマとした作品があるとします。それを観た人の心には、作品から、その社会問題に対しての問いかけがなされます。
「ショッキングな作品だったけど、もっと真面目に考えなければならないと思いました。」なんて感想を得られれば、まさにその作品は鑑賞者への問いかけとなり、こうした問いかけを持つものこそアートである、という考えです。
一方で、案内図が解りにくいという問題があるとします。この問題に対して、老若男女、あるいは外国人にも解りやすいものを作ったとします。
このように、問題に対しての答えを出すことがデザインである、という考えです。
その作品を観た人に、問いかけをもたらすか、答えをもたらすか、これがアートとデザインの違いだ、といったことです。
アートは芸術活動で、デザインは仕事。
平たく言うと、自分の感覚で自分の好きなものを作ることはアートで、仕事として依頼を受けて誰かのために作ることはデザイン、と言う考えです。
デザインの職場で、依頼者の要望を無視して、自分の感覚で作ってしまうと、アーティストじゃないんだからと言う話になることがあります。
アートは自分の感覚、デザインは他人の感覚。
先ほどの話と似ていますが、アートは他人に理解してもらう必要がなく、100%自分の感覚や感性で作品を作っても良く、デザインは他人に理解してもらう必要があるものだ、と言う考えです。
そもそもデザインは、誰にでも解りやすく、使いやすくある必要がありますし。その対象者の共感を得る必要があります。そうじゃないと何も伝わらない広告が出来上がってしまいますね。
アートは、わかる人にわかってもらえればよく、全然良いと思わないとか言われても良いのです。
職業上の肩書きとしての違い
アートとデザイン。と言うよりも、アーティストとデザイナーと言った方が違いを感じませんか?
最近ではアーティストと言うと歌手やミュージシャンに対して使われる事が多いです。何でもアーティストですよね。
それ以外にも、何とかアーティストって無数にあります。
デザイナーの場合、職業として確立しているものが多いです。WEBデザイナー、グラフィックデザイナー、プロダクトデザイナー、空間デザイナー、などです。WEBアーティストなんて言い方はしませんよね。
アーティストとデザイナーの他に、クリエイターと言う言葉があります。またこれが位置付けが解りづらい言葉だと思います。WEBデザイナーでもWEBクリエイターでも通用しそうですよね。
でもグラフィッククリエイターとは言わない?ですよね。
イラストクリエイターとも言いませんし、イラストレーターはイラストレーターです。
クリエイターって言うのは、アーティストとデザイナーの中間のような言葉だと思います。
自分の好きな作品を作るけど、それが多くの人に受け入れられて職業として確立している。動画クリエイターみたいな感じです。まぁYoutubeはYoutuberって言う職業になっていますが。
結局は言葉の違いでしかない
アートとデザインの違いを考えることは大事だと思います。特にデザイナーにとっては、「自分はアーティストじゃなくデザイナーなのだから」と制作物に対しての考え方を改めるのは必要だと思います。
しかし、結局のところ言葉の違いでしかない、という一面もあると思います。
一般的に伝わりやすい言葉の住み分けとして上記の考えがある、と言う程度で、それがアートなのかデザインなのか、誰が決めることでもないと思います。
友達、と言う関係性を表す言葉も、それぞれの関係ごとに全然違いますよね。結局言葉の住み分けというのは、広く共通の認識を持たせるためのものであって、アートとデザインにおいても同じ事が言えるのではないでしょうか。
だから、それがアートなのかデザインなのか、自分はデザイナーなのかクリエイターなのか、ある程度の住み分けは必要という程度で、そう言ったことは考えすぎずに、今作っている作品や取り組んでいる仕事のクオリティに集中すれば良いと思います。
今やプログラムを書くことだってデザイナーだったりクリエイターだったりするのですから。