会社での先輩・後輩、あるいは上司・部下の関係において、お互いの話や考え方が理解できず通じ合わず、困っていることはありませんか?
教えたいことが理解されない、教えられることが理解できない、よくあるのではないでしょうか?最終的に諦めて「じゃあもういいよ」なんて寂しい会話になっていませんか。
特にデザインやクリエイター系の仕事だと、個人個人の考え方や手法が強く出ますからこのような状態は多いのではないでしょうか。
様々な場合があると思いますが、今回はなぜそのような状況になってしまうのかと、その場合の対策を解説していきます。
はじめに端的な結論を申し上げますと、「経験に基づく話は同じ理解を得られない」ためだと思います。こちらを分解して解説していきます。
経験から学んだことは話だけでは伝わらない
自分のこれまでの経験から学んだことを教えようとする場合、話だけでは簡単には伝わらないことが多いです。
先輩と後輩、上司と部下の間には数年から十数年の時間差があると思います。この多くの時間の中で、少しづつ考えは“進歩”あるいは“進化”してきたはずです。
多くの時間の中で経験と共に進化してきた考えは、同じように段階や過程を踏まなければ辿り着かないものです。
そのため、最終的に辿り着いた現時点での考えや結論だけを話したところで、同じ経験をしていないと同じ理解はできません。
もちろん、伝えられることはあると思いますが、肝心なことは“理解されないことに苦しまない”ことです。
経験しなければ理解できないことと、そうでないことを分けて考えるべきです。そして、経験が必要なことと分類した内容は無理に理解してもらおうとせず、それよりも経験してもらうことを優先した方がいいでしょう。
自分の指示に従ってもらうか、相手の考えに任せるか
もしも、後輩や部下に「自分の考えてやってみて」と指示をしたのならば、途中で考え方の修正を加えずに最後までやってもらう方がいいでしょう。
もちろん、致命的なミスやエラーは防がなくてはいけないので管理や修正はします。
しかし、考え方ややり方についてはお任せをし、それによってどのような結果になったか、経験を得たかを覚えてもらいます。
もし、自分の考えでやることを任せられるだけの段階でなければ、中途半端に考えることを指示するよりも、上司・先輩の考え方で動いてもらう方がいいでしょう。
後輩・部下の視点から考えると、「自分の責任・自分の考えで動いている」のか「先輩・上司の責任や考えで動いている」のか、どっちなのかはっきりしている方がいいのです。
別の言い方をすると、「完全に同じ理解や考えを共有する」ことは不可能なので、今はどの考えを優先して行動しているのか、という選択を共有するというイメージです。
このような上下関係に限らず、どのような関係であっても、同じ理解や認識を共有することを求めると苦しいことになってしまうでしょう。
正解は無いがどれか選ばなければならない
そもそも考え方というものに正解は無いです(大間違いはあります)
しかし、物事を決定し仕事として先に進む行動を取るためには、正解が無い中でも「どれかの考え方を選ぶ」しかありません。
そのため、先輩や後輩、上司や部下の考えが正しいかどうかという議論をするよりも、今回はどの考えを採用して進めていくかが肝心なことだと思います。
もしも、企業や部署として明確に定められた考え方があるというのであれば悩む必要は無いと思います。そこに所属している以上、それを尊重するべきだからです。
しかし、物事の細部に到るまで綿密に決まっているということは無いと思います。必ずどこかの場面で個人の考え方や判断に委ねられることになってきます。このような場面で「どの考え方を取るか」選択することが肝心であり、互いの理解が一致しないことに悩まないための方法になります。
経験・一般論・考え方・指示の分類
ここまでの話を一旦まとめてみます。
その話が、「自分の経験に基づく話」なのか、「一般論からくる話」なのか。
「考え方の修正や教え」なのか、「ただの指示」なのか。
これらを模式図にするとこのようになります。
経験に基づいた考え方の話は、先ほどの通り同じ経験や時間を過ごしていないと伝わりにくいです。これが簡単に伝わるとしたら、信頼関係や尊敬の念がしっかりとあるか、偶然同じ経験や考え方を持っているラッキーなパターンです。
一般論に基づく考え方の話は伝わると思いますが、ここで注意したいのは、個人的な経験や考え方を一般論であると決めつけて話すと、余計いやな話になってしまいます。この場合には誰が話していたこととか、実例などを交えると自分の考えでなく一般論として伝えやすいでしょう。
経験に基づいた指示、というのは確かに自分の経験の範疇ではありますが、あくまで先輩や上司としての責任を持ったうえで、実際の行動の指示を出すわけですから、疑問があったとしても実行できるでしょう(これをしないとなると人間関係の問題になってきます)
一般論に基づいた指示、というのは普通の指示になります。これは問題なくコミュニケーションできるはずです。
全ての会話をこの模式図に当てはめるのは難しいですが、問題のある会話をこれに当てはめてみると原因が見えてくると思います。
理解しなくてもいいが受け入れる
結論としては、お互いの考えを理解する必要はないけど受け入れることが肝要であるということになります。
「同じ理解を持つ」というのは非常に難しいことなので、どこで折り合いをつけるかということになってきます。
特に、仕事を進める上では、ある程度のラインで線引きをし、それ以上の共感を求めないほうが円滑に進むと思います。