本ブログ筆者のゆすけと申します。
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私はインハウスデザイナーとしての経験が2社あり、合計で10年ほどになります。
1社目は電機メーカーでのパッケージと製品のデザイナーで、
2社目は結婚式やレストランなどのサービス系企業のWEBデザイナーです。
どちらもインハウスデザイナーですが、大きく違うのは、電機メーカーの場合は制作したものその物が商品になり、サービス系のWEBデザインの場合には広告としての役割になります。
このような経験を踏まえて、インハウスデザイナーについての解説をしていきたいと思います。1つの記事では書ききれないので、これからシリーズとしていくつかの記事に分けて書いていきます。
そもそもインハウスデザイナーとはなにか?
インハウスデザイナーというのは、「基本の基本は普通の社員」です。
デザイナーとして採用されて入社しているわけですが、それ以前にその企業の社員として採用される訳ですから、基本的には普通の社員です。
他の職種の人と同じように入社研修を受けたり、朝礼や打ち合わせ、イベントなどにも出席します。あくまで会社の中に沢山ある職種の1 つと言うことになります。
具体的なポジションの例は、以下のようになります。
■ 株式会社○○ 商品開発部 デザイン課
■ 株式会社○○ 広報部 デザイン課
あまりないと思いますが他部署に異動することもあります。制作会社ではないので、当然デザイン制作以外の仕事が会社の中に沢山あります。
また、制作会社などと大きく違う点として、その企業や業界の知識をしっかりと身に付ける必要が出てきます。
例えば電機メーカーなら、商品の生産地や生産工程、輸送ルート、中身の機械の構造、実際の販売先のことなど様々です。
もし制作会社だとしてもメインクライアントの業界業種のことなどはしっかりと勉強すると思いますが、それのさらに深いものになります。なにせ社員な訳ですから。
インハウスデザイナーが求められる能力
求められる能力は「総合力」と「専門性」です。
これを言ってしまうと全てじゃないかと言われてしまいそうですが、インハウスデザイナーなりの総合力と専門性があるので解説していきます。
■総合力
先ほどの通り、基本的には普通の社員という側面が強くありますので、会社の社員としての総合力が求められます。大企業であれば分業がしっかりされていると思いますが、小〜中企業の場合、電話や来客の応対、場合によっては一般事務のような仕事もあったりします。
他にも、他部署の仕事内容や、販売店や別事業所がある場合にはその事情をよく知っている必要があります。これができないと結局は外部のデザイナーと同じになってしまい、インハウスデザイナーとしての価値が無くなってしまいます。
逆に言うと、デザイナーとしての能力だけでなく、総合力によって高い評価を得ることも可能です。
■専門性
ここでの専門性は、もちろんデザイナーとしての専門性もありますが、他人から見た専門性に注目してみます。
インハウスデザイナーになると、デザインや制作の部署に配属されると思います。そのデザインの部署内では同じ価値観の人が居ると思いますが、他の部署の人からは、「なんとなくおしゃれな人」とか「絵が上手い人たち」や、「パソコンに詳しい人」など、けっこう漠然としたイメージで見られます。
他人からの漠然としたイメージは、期待でもあります。
このような期待に応えることもインハウスデザイナーの役割であり、ここを伸ばすことで会社の中で活躍できるフィールドが増えていきます。
ただし、不本意な期待に応えようとばかりしていると、本来のデザイナーとしての専門性を見失って便利屋さんのようになってしまうので、そこは注意が必要です。
インハウスデザイナーだから得られる経験
インハウスデザイナーならではの経験はたくさんありますが、今回は例としては次の3つについてお話しします。
- 業界や業種の特化した知識と経験を得られる。
- 他職種の仕事を知れる、知り合いができる。
- クライアント側の経験。
■業界や業種の特化した知識と経験を得られる。
業界ごとの文化や風習ってすごく強いものです。専門用語も沢山あります。
私は電機メーカーとサービス業と言う全く違う業界を経験しましたが、全くと言っていいほど違う文化です。
例えば、家電量販店にある商品がどのような工程を踏んで目の前に並んでいるか判りますか?
結婚式に必要な人や物、掛かる予算やどこで利益を得ているかなど知っているデザイナーが居るでしょうか。
その業界や企業の中に入らなければ絶対に得ることのない経験をすることになります。
■他職種の仕事を知れる、知り合いができる。
総務・経理など、どの会社にも必要な職種はもちろんのこと、例えば電気設計の人や料理人と仕事をすることもあります。そうした自分以外の専門性の高い人たちが身近にいます。
確かに制作会社の方が色々な多くの企業や人と関わる機会があるかも知れませんが、インハウスの場合、より深い付き合いとなっていきます。
他の職業の人がどのようなことを考え、どのように仕事をしているかって気になりますよね。これはデザイナーとしても人間としても大きな経験となります。
■クライアント側の経験。
これが制作会社と最も大きな違いかも知れません。
先ほどの通り、基本的にはその会社の社員であるわけですから、制作の依頼をするクライアント側にもなることがあります。
制作委託のように作業だけお願いする場合もありますが、自分の方に作りたい商品や売りたいサービスがあり、コンセプト等を考えるところから依頼することもあり、本当にクライアント側となります。
デザイン部署があるのに外部に依頼することがあるのかと思うかも知れませんが、あるのです。
例えば、いつもと違うデザインにしてみたい、とか、社内では作れないシステムの入ったWEBサイトを作りたいなどです。
このような場合には、インハウスデザイナーが制作会社を探して仕事を依頼する場合もあります。
依頼される側とする側のどちらも経験できるのは良いことです。
いつも頼まれる立場だと、困る依頼の仕方って結構ありますよね。これを理解した状態で依頼する側になると、また内容や進行が変わってくるものです。
まとめ
隣の芝は青く見えると言うように、インハウスデザイナーは制作会社に憧れ、制作会社のデザイナーはインハウスに憧れるといった話も聞いたことがあります。
どちらにも利点はありますが、インハウスデザイナーは、所属する企業が好きになれれば非常に楽しい仕事になります。
この記事はこれから就職しようとしている方々や、インハウスデザイナーに興味のある方の参考になればと思います。またインハウス系の記事は書いていきます。