デザイナーやクリエイターにとってパソコン(PC)は重要な道具です。
どんなパソコンを購入するかは、作品にも影響する重要な選択になってきます。
今回は、パソコンを選ぶときの様々な選択肢を、目的・予算・環境を軸に考察していきます。
PC本体だけでなく、モニターなどの周辺機器や環境を含めて考えていきます。
使用目的からパソコンを選ぶ
まず使用目的から考えてみますが、何をするにしても“どれくらいやるか”が関わってくることと、高スペックに越したことはないです。
イラストレータ・インデザインでの印刷物がメイン
印刷物メインと一口に言っても、チラシ1枚作るのと、100ページの本を作るのとでは、快適に動作するスペックは変わってきます。
あるいは、大判の印刷物や、リンクする画像が巨大な場合などは、やはり必要スペックが上がってきます。
また、印刷物の場合には、原寸で画面に出せることが重要になってきます。A1のポスターを13インチのモニターで作っても、仕上がりが想像しにくいと思います。
そのため、大きなモニターがあると非常に便利です。
WEB制作でコーディングがメイン
コーディングはテキストエディットですので、スペックはそれほど必要ではありません。
画面サイズも、大きければ作業効率は上がりますが、小さくでも十分できます。
しかし、WEB制作をしている以上、本当にコーディングだけという人は少ないと思います。
画像や動画も取り扱うでしょうし、イラストレータを使ってSVGを作ることもあるでしょう。
スペックが高いに越したことはありません。
映像制作をする
映像制作をする場合には、Adobeで言うとPremiereやAfter Effectを使用することになります。
Adobe公式の推奨スペックでも映像関係のソフトは他より一段高く、メモリは16G、4K映像を扱うなら32Gとなっています。グラフィックボードの性能も大きく関わってきます。
それだけでなく、ストレージも重要です。映像データの容量は非常に大きいので、2TのHDDもすぐに埋まってしまうでしょう。
4K映像や、複雑な編集をしたり、長い映像を作る際には、ノートパソコンでは厳しくなってきます。
とにかく高スペックのパソコンを選ぶ方が良いでしょう。
写真の現像とレタッチ
これも物量の問題になります。一枚だけ現像してレタッチするのと、1000枚処理するのとでは全然違ってきます。
また、カメラの性能にもよります。高解像度のカメラだと、一枚処理するのにも時間がかかり、それが100枚、1000枚となれば倍々式に時間はかかります。
高いカメラを買うほどパソコンも高スペックが必要という循環になってきます。
3Dやアニメーションを作る
3Dの場合には、グラフィックカードが非常に重要になってきます。グラフィックカードのスペックやラインナップが解らないと選ぶのが難しいです。
ただ、高スペックが必要なことには間違いないのと、ノートパソコンや画面一体型のパソコンだと、グラフィックカードは後から変えられないのと、ハイスペックなものは少ないです。
つまりデスクトップ一択になってきます。
予算からパソコンを選ぶ
予算も明確な基準になってきます。もし20万の予算があるのなら、ハイスペックなパソコンが手に入るでしょう。
しかし、10万円なら、ミドルクラスに届かないかもしれません。
10万円以下
ノートパソコンで10万円以下ですと、クリエイティブ系は厳しいと思います。
デスクトップで、なおかつモニタは持ってて本体だけ買えばいいという場合であれば、まだミドルクラスのものが手に入るかもしれません。
あるいは、中古を検討してもいい予算だと思います。
10万~15万
この予算だとMacBookがようやく買えそうですが、スペックは一番下のものになるでしょう。
もしデスクトップパソコンであれば、マウスコンピュータやDELLなどでミドルクラスのものが手に入ります。
さらに、自作パソコンをするのであれば、3Dが快適とまではいきませんが、十分なスペックが手に入るでしょう。
15万~20万
iMacが買える価格帯になってきます。デスクトップであれば、十分なものが買える予算になってきます。
あるいは、本体はミドルクラスで、4Kモニタを買うなどの選択肢も増えてきます。
20万~
ここから先はだいぶハイスペックになってきます。MacBookやiMacでもスペックを上げて購入できますし、WindowsであればゲーミングPCの様なものも買えます。
30万~
Mac proやiMac proに手が届きそうです。
映像編集をがっつりやる、とか3Dをやるなど、明確に目的があるならこのクラスを選んだ方がいいかもしれません。
MacかWindowsかの選択
MacかWindowsかの論争は長く行われてきましたが、Adobeを含めて主要なソフトはどちらにもあるし、AdobeCCは1つのライセンスでどちらのOSでも使えます。
見た目やブランドで選ぶ
アップルが好きとかMacの見た目がどうしても良いならMacにすればいいと思います。デザインやクリエイティブにおいてはWindowsを選ばなかったために後悔することは無いと思います。
周りの環境で選ぶ
パソコン以外のタブレットやスマホがAppleで、それらと連携したいのであればパソコンもMacを選ぶのがいいと思います。
一緒に仕事をする人の環境に合わせるのも一つです。素材を受け渡すくらいなら良いのですが、一つのデータを複数人で作るなら同OSがいいでしょう。
拡張性で選ぶ
もし自作パソコンをするならWindows一択になります。予算や使用目的の話にも繋がりますが、最初は低予算で抑えてアップグレードをしていくなら、自作かBTOがいいです。
Macで拡張できるのはメモリくらいです。
デスクトップPCかノートPCかの選択
私個人の考えとしては、”絶対に持ち運びをする必要がある”という場合でない限りデスクトップがいいです。
使っている状況を優先する
ノートなら持ち運べてどこでもできる、のは魅力的ですが、スペックと費用、画面サイズなど、実際に使っている状況と、操作性や効率性を考えるとデスクトップを選んだ方がいいです。
二台持ちがベスト
母艦(デスクトップ)とモバイル(ノート)という構成が最もバランスがいいです。二台買うとなるとお金がかかると思うかもしれませんが、初めからそれで予算を考えればいいのです。
デスクトップの方にお金をかけて、ノートは人に画面を見せたり、ちょっとした修正だけと決めれば中古の型落ちでもいいと思います。
ハイスペックな一台を買うよりも、二台持ちを検討してみてはいかがでしょうか。
一体型か分離型かの選択
デスクトップには画面と本体が一体になっているものがあります。iMacがそうですね。
一体型のメリット・デメリット
メリット
ケーブルが少なくスタイリッシュ。設置が楽。オフィスや家の中ぐらいなら移動がしやすい。
デメリット
拡張性がほとんど無い。どこか故障したら全部使えなくなる。もしモニター部分だけ壊れたとして、分離型ならモニター交換で済みます。
分離型のすすめ
私の考えですが、機器類は出来るだけ色々な部分が分離する方がいいです。取り扱いは面倒ですが、交換やアップグレードがしやすいためです。
自作PCか BTOかの選択
Macとノート、一体型PCの選択肢を省き、Windowsのデスクトップだけに絞ったとき、メーカー製PC・自作PC・BTOの三択になります。
性能面でのスペックとコストパフォーマンスだけを考えるとこれらがもっともベストな選択だと私は思います。
メーカー製PC
日本企業のメーカー製PCは割高です。安心感はあるのかも知れませんが、単純にスペック=価格と考えると高めになってきます。
また、拡張性が少ないです。大変コンパクトに設計されたものが多いです。
全般的に、デザイナー・クリエイター向けというものはあまり無いです。
自作PC
これは専門的な知識が最も必要になる選択です。自分でパーツを選び、買い揃え、組み上げてOSをインストールするわけです。
これらの手間を楽しめるのであれば、最も安くスペックの高いパソコンを手に入れる手段となり、なおかつ作る楽しみを味わえます。
しかし、専門的なことが解らず、色々調べたり組み上げたりが難しい場合、保証の無い方法なので不安だと思います。
BTO
BTOはBuild to Orderの略で、自作PCの組み立てやOSインストールを業者に任せられるもので、中のパーツは自分で選べます。準自作PCという感じです。
もちろん、完全な自作PCよりは選択の幅は狭くなりますが、スペック的には十分ですし、価格も完全な自作とそこまで変わらないです。
大きいケースのものを選んでおけば拡張性もありますし、私個人の考えではベストな選択なのではないかと思います。
BTOパソコンの主なメーカーとしては下記があげられます。
- Lenovo
- マウスコンピュータ
- ドスパラ
- ツクモ
まとめ
今回は細かいスペックの見方などは割愛し、大体こんな基準で考えていくと絞りやすいんじゃないか、という内容でした。
また別の記事では詳細や具体的な商品も書きながらご紹介したいと思います。